人生にハリがない

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筋肉とプリケツとエンジン、つまりワイルドスピードの話。

最初に断っておきますと、僕は車にはあまり興味がありません。確かにスポーツカーやスーパーカーはかっこいいと思うし、ドリフトをキメて急カーブを走り去ったりするシーンには興奮しますが、かといって車種やメーカーを覚えることはないですし、雑誌やレースの中継を見ることもないです。免許持ってないので、実際に乗ることなんかもちろんありません。よくよく考えるとこんな僕が、マッチョな男たちがブイブイいう車に乗ってブイブイいわす映画を好きになるというのも不思議な話です。でも好きになってしまったものはしょうがない。というわけで、『ワイルド・スピード』おもしろいよ、という話をします。

 

そもそもなぜこのシリーズにハマったのかと問われれば、単純な話、僕が持っていないもの、憧れていたものがあったからですね。僕は小さいころからデブで気弱でブサイクといういじめられっ子のサラブレッドのような人間で、それはまあしこたまいじめられたわけなんですが、その反動で筋骨隆々の男に強い憧れを抱くようになりました。強い男になりたかったんですね。どんな逆境にもくじけない男ですよ。心も体も強い、あらゆる問題をワンパンで解決するマッチョです。プロレスやヒーローものが好きなのも同じ理由ですね。映画なんかでもドンパチやるアクションばかり見てました。また、マブいスケにも憧れてました。筋金入りのいじめられっ子である僕はもちろんクラスの女子から存在を黙殺されていて、ありていに言えばガン無視されていたわけですが、こんな青春時代を送っていれば美女の一人や二人、はべらしたくなるのも当然の帰結でしょう。おもむろに横にいる美女のケツを鷲掴みにしてガハハと下卑た笑い声をあげたりしたい、毛むくじゃらの指でおっぱいをまさぐりたい、そう夢見てましたね。そして、こうした夢や憧れをこんもりと詰めこんでいたのがワイルド・スピードシリーズなわけです。

 

知人にDVDを貸してもらったのが、最初の出会いです。そこまで興味はなかったんですが、しかし10年近く続いているシリーズなわけだし、そんなに続いてるならハズレはないだろうという軽い気持ちで借りました。車は一切分からないし、別にヴィン・ディーゼルも好きじゃないし、ていうかこのポール・ウォーカーって誰だよ(笑)という舐めきった態度で、まあ暇つぶしにはなるかと見たわけです。しかし、1作目を見終わったころには、心は完全にドラッグレーサーになっていましたね。なんやこれ、最高に面白カッコいいやん!と真夜中に一人興奮したのを覚えています。一応アクション映画の括りなのに人死にがあまりないとか、ラストは敵のボスと戦闘とかではなく主人公同士によるレース勝負とか、今まで見た映画とは一風変わったテイストだったので余計に印象に残りましたね。まあそういうノリも3作目の『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』ぐらいまでで、後の作品になってくると普通のアクション映画っぽくなってしまうんですが…。とにかく、カーアクションは『スピード』くらいしか馴染みがなかった僕としては、とても新鮮で面白かったわけです。そもそも『ワイルド・スピード』と『スピード』、区別ついてなかったですからね僕。

 

出演者たちの筋肉も素晴らしかった。主人公ドミニク・トレットを演じたヴィン・ディーゼルは言わずもがな、僕の理想とする、全ての問題をワンパンで解決するマッチョを体現していました。もう最高。筋肉最高。また、もう一人の主人公ブライアン・オコナー役のポール・ウォーカーは、188cmの長身をまったく生かしていない武骨なガチファイトが最高ですね。パッと見ひょろいので弱そうなんですが、アクションシーンで見せるしゃにむに食らいつくスタイルがとてもグッド。そして5作目『MEGA MAX』から登場するルーク・ホブス役のロック様は、現役WWEスーパースター時代から明らかに増量している暴力的なまでの筋肉で、シリーズのマッチョイズム度向上に貢献しています。彼の筋肉は見てるだけで楽しいですね。目を楽しませる筋肉です。アクションも「暴力の権化」って感じで最高。さすが業界一シビれる男!

 

また、他にも見どころとして、このシリーズでは全作品で必ず一回はストリートレースのシーンが登場します。『ワイルド・スピード』の原点とも言えるシチュエーションなので外せないということなんでしょうが、ここで注目してもらいたいのは車でもレーサーたちでもありません。「ケツ」です。このシリーズはなにかケツへの並々ならぬこだわりがあるんでしょうか、レース会場の見物客たちを写すシーンでは必ず女性のケツが登場します。本当に必ずです。というか他のシチュエーションでも出てきます。場所を選ばずありとあらゆる状況下で、脈絡なく出てくるケツ。おっぱいも強調されていますが、やはり圧倒的にケツに分がありますね。僕の見立てでは、おそらく制作陣の中に偏執的な尻フェチがいるとにらんでいますが、とにかくケツに対する恐ろしい熱情を感じるわけです。

 

ケツ!ケツ!ケツ!プリケツ見たけりゃこれを見ろ!!! 

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僕は、マブいスケがプリケツを振り乱して踊る姿がスローで映し出されると、「ああ、ワイルド・スピードを見ているんだなあ」という多幸感に包まれますね。ケツがなきゃ『ワイルド・スピード』じゃない。この映画は最高のプリケツ映画でもあるんです。

 

しかし、このシリーズ一番の魅力は、やはりどんどんとヤバくなっていくその展開にあるでしょう。そもそも原点であるストリートレースに励んでいたのは3作目までで、あとはレースなんて添え物みたいな扱いです。4作目『ワイルド・スピード MAX』から目に見えてドンパチが増え始め、6作目『EURO MISSION』ではとうとう戦争状態に突入。よく分からん水中銃みたいなガジェットで車を行動不能にし、戦車が登場してあちこちを破壊、挙句の果てには滑走路で飛び立とうとする飛行機に食らいつき爆破する。ドヤ顔しながらニトロをぶっ放し抜きつ抜かれつで一喜一憂していたあの頃が懐かしい…。ドラッグレースが牧歌的に見えるほど、破壊と戦闘のインフレが起こってしまったのです。というか6作目の終盤なんて、半分肉弾戦ですよ。カーアクションなんてしゃらくせえ、俺たちの筋肉を見ろい!と言わんばかりの筋肉ダルマたちの肉弾祭り。どこに「スピード」の要素があるんだ?これじゃ『ワイルド・パワー』だろ!でも筋肉見れるし、まあいいか!と思わず納得させられてしまう、膂力を持て余したマッチョたちの遊び。このようにカーアクション映画からドンパチ肉弾映画になってしまったこのシリーズは、しかしそれでもなんだかんだ車への愛が感じられるし、ここまで書いておいてなんですが普通にカーチェイスは白熱してカッコいいし、やっぱり好きなんだよなあ。

 

世の中は辛く厳しいものです。心が折れそうになることばかり。始末に負えないのは、心が折れてしまってもなおその厳しさが手を休めないところです。ポッキリ折れてしまった心をどうやって慰めるのか…。そんなとき僕は胸を張って、このワイルド・スピードシリーズを見てくれ!と言いますね。どんな悩みも、少なくとも見ている間だけはきれいさっぱり忘れられる。そして筋肉と爆発でカーッと熱くなれるんです。それは最高に素敵なことなんじゃないかなあ。素敵なことが全然ないこんな世の中だし、それぐらいは許されますよね。いや、許されなきゃ困るよ!