人生にハリがない

『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』を二年間待った僕は

 

 

 

 

 

※ネタバレには一切配慮しません。用語の解説もしません。ご了承ください。

 

 

 

 

 

バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』(以下BvS)の制作が発表されたのは2013年のコミコン、僕は来たるべき就職活動という名の地獄に戦々恐々としている罪なき大学三年生でした。当時隆盛を極めていた(今現在もですが)ライバル会社MARVELのMCUに遅れること5年、DCコミックスも映画でのユニバース構築に乗り出したわけで、それはそれは話題になりましたね。子供の頃にカートゥーンネットワークジャスティスリーグティーン・タイタンズを見て育った僕にとって、とうとうDC作品でも実写映画のクロスオーバーが始まるという知らせは何ものにも代えがたいものでした。率直に言うと嬉しくてほんのちょびっとだけ泣きました。

 

それからの二年間。皆さんには想像できますか?大好きで大好きでしょうがないものを、二年間お預けされる気持ちが。どんなに利口な犬でも、鼻先におやつを乗っけられたまま二年間「待て」は出来ないでしょう。どんなに禁欲的な、それこそ上杉謙信といえども、寸止め手コキを二年間続けられたら「イカせてくれ!」と懇願するでしょう。でも僕は耐えました。耐えきりましたよ。僕には理性がある。犬畜生なんかと一緒にするな。というかなんで上杉謙信が例えで出てくるんだよ、バカか。

 

公開までの二年間は、PS3用ゲームソフト『バットマン アーカム・ビギンズ』のトレーラーのバットマンとデスストロークの格闘戦や、小出しに解禁されていく予告を何度も何度も繰り返し繰り返し見続けて、気を紛らわせました。紛れるどころか気が狂うかと思ったぞ。『ファークライ3』でバースも同じことを繰り返し続けるのが狂気だって言ってたからな。何回見たと思ってんだ。YouTubeの公式トレーラーの再生数の500回ぐらいは確実に僕が稼いだぞ。

 

いやまあ制作発表以降も素晴らしい映画はいっぱいあったので、実のところそんなに辛くはなかったんですがね。特にMCUはフェーズ2に移行、『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』『アントマン』などなど名作を連発。さらに今作の公開から一ヵ月後には同じくヒーロー同士の戦いを描いた『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』が公開されるわけで、もうこれはBvSの期待値上がりまくり、ファンのジャスティスも誕生しまくり、僕のアルフレッドもペニーワースという感じがありました。

 

とにかく。3月25日、スケジュール通りに無事公開されたわけです。僕は仕事があり公開初日には観に行けなかったので、公開から2日経った3月27日に2Dと3Dで二回観ました。

 

 

二回観たことを踏まえて、結論から言いましょう。この映画はクソです。

 

 

それ以外の評価は下しようがない。それはもう特に僕が言及しなくても数えきれない人々がそう評価しているこの現状を鑑みれば分かることです。ムービーウォッチメンでは宇多丸が的確に問題点を指摘しているし、ロッテントマトはトマトが腐りきっちゃってますからね。もう救いようがないですよ。ツッコミどころを挙げるとキリがない。話のテンポも悪い。ストーリーも支離滅裂。こんなものが出てきてしまったことで、余計DC作品が日本で嘲笑の的になってしまう。ザック・スナイダーはなんでこんな出来のものを自信満々で世に出すことができたのか。理解に苦しむ。いやマジで。僕が又吉イエスだったら、「腹を切って死ぬべきである!」って言っちゃいますよ。二年間待ちに待って楽しみにし続けたんですよ。この二年間、間違いなくBvSが僕の生きる意味の一つだったんですよ。その結果がこれです。あんまりだ。もう駄目だ。誰か助けてくれ…。

 

 

 

 

 

ん?

 

 

 

なにか聞こえる…?

 

 

 

 

 

 

 


WONDER WOMAN Theme / Music | Batman v Superman OST | Hans Zimmer & Junkie XL | HD

 

 

!?

 

こ、これはぁ!!!??

 

 

 

 

 

はい、というわけで客観的に見れば本当にクソ駄作、しかしお預けを食らいまくっていたファンからすれば最高のごちそうという非常に(良くも悪くも)面白い映画でした。国内外で酷評の嵐ですが、全く異論はありません。酷評されてしかるべき出来です。しかし、しかしね。そんなの全然関係ないですよ。僕が何年待ったと思ってるんですか?二年なんかじゃおさまらないですよ。MCUの一作目、『アイアンマン』公開の2008年から、八年間ですよ。ずっとだぞ。DCもこうやってクロスオーバーしてくれるに違いない。ジャスティスリーグをやってくれるに違いない。そうやって八年間待ったんだ。デラーズ・フリートだって三年間だからな。僕はそれより五年も長いんだぞ。早漏野郎め。もう少し我慢してみやがれってんだ。根性なしども。

 

話がそれました。とにかく、僕は待ち続けたんです。いくらボロクソ言われても気になりませんよ。ようやくバッツとスープスが一緒にいるとこを実写で見れたんだもん。何を言われても平気。問題点はいくらでもありますが、ここでは一切言及しません。問題点だらけだし、みんながしこたま指摘してるだろうから。だから僕はとことんこの作品を擁護するスタンスですよ。あぁ?宇多丸に酷評された?ロッテントマトが腐ったトマト?

 

 

うるせえ!!ベン・アフレックのケツアゴを食らえ!!!

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ザックの野郎がどんだけやらかしても、バッツとスープスの殴り合いを見せてくれた上に、ビッグ3揃い踏みまで見せてくれたんだ。無理筋だろうと擁護してやる。ザック・スナイダー最高!僕をレイプしてくれ!僕のアナルをオナホにするべきだ!

 

 

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最高!!生きてるうちにこの画が観れるなんて!!劇場で涙目になっちゃったぞ馬鹿野郎!!!

 

 

あとなあ、バットマンが人殺ししてるって、ジミー・オルセンが登場三分経たずにぶっ殺される世界でなに言ってんだ!もうDCEU世界は、マルチバースに内包される一つの宇宙として考えた方が自然だと思いますよ。パラレルワールド的なものと考えれば分かりやすいと思います。だってどう考えても広く大衆に普及してるキャラのイメージに則ってないですから。ルーサーがADHDくさい天才肌のお兄ちゃんってめちゃくちゃ不自然ですからね。あんなんじゃ合衆国大統領になれないよ。MCUは一般的なイメージ通りに正統派な実写化をしているようですが、DCEUはゴイヤーとザック・スナイダーが好き勝手にいじくり回す気満々ですよ。まっとうに実写化するつもりはなさそう。そもそも「DCエクステンディッドユニバース」ですからね。「エクステンド」とは拡張、延長という意味。「シネマティック」ではないんですよ。だからバッツが人殺しまくっててもいいの!スープスがなんか根暗っぽくてもいいの!

 

あとこれ、マジで言いたいんですけどね、バッツとスープスが母親の名前が一緒ってだけで仲直りするってやつ。本当にただ名前が一緒ってだけで意気投合してるわけじゃないですよ!

 

バッツがマーサ救出に向かう旨をスープスに伝えた後、とあるセリフを言います、字幕では「マーサは死なせない」となってますが、あれ実際は最後に「tonight」って言ってるんですよ。字幕では訳されてませんが。だから正確にはあのセリフは「今夜はマーサを死なせない」になるんです。劇中でブルースはマーサの墓参りで怪物に襲われる悪夢を見ますよね。彼には目の前で母を救えなかった後悔とトラウマがあるわけです。ずっとその心の傷に苛まれてきた。そうやって身も心もボロボロになって戦い続ける彼に舞い込んだ、取り戻せない過去を取り戻すチャンスが「マーサ」を救うことなんですよ。あの和解はただ母親の名前が一緒で奇遇だね!みたいなノリじゃないんです。その後のあの大立ち回りも、言ってみればブルース・ウェインが過去に対してけじめをつける戦いであり、バットマンが犯罪者を打ち倒すクライムファイターから人々を救うヒーローへと生まれ変わる戦いなんです。ただの賑やかしじゃないんですよ。僕はそれに気付いたとき本当に感動したましたよ。そういうことを踏まえてみると、あの和解とその後の戦闘シーンが、めちゃくちゃ熱く感じられてきませんか。

 

あと全然関係ないけど、おい!作品中盤でブルースが悪夢を見た後にフラッシュが警告に現れるシーンを『フラッシュポイント』だって言う奴ら!お前ら『フラッシュポイント』読んだことねえだろ!!あの作品はねじ曲がった世界を修正するってのがテーマであって、過去改変なんてしてねえよ!ちょっとフラッシュが次元を超えただけですぐフラッシュポイントか!お前らそれぐらいしか知らねえんだろ!まあ僕もそんなに詳しくないけど!とりあえず「THE NEW 52!」としては『フラッシュ:新たなる挑戦』に続いての邦訳、『フラッシュ:ローグズの逆襲』が先月発売されたから、みんな買ってくれよな!

 

フラッシュ:ローグズの逆襲(THE NEW 52!) (ShoPro Books THE NEW52!)

フラッシュ:ローグズの逆襲(THE NEW 52!) (ShoPro Books THE NEW52!)

 

 

 少し熱くなりました。とにかく、僕はこの作品が大好きなわけですよ。丁寧に誠意ある映画作りをして着実にアメコミ映画の地位を確立してきたMCUに対して、個々の監督の作家性をむきだしにして噛みついていくぞという気迫が、DCEUからは感じられます。とりあえずその試みは今作においては大失敗したようですが、それでも僕には頼もしく見えますね。もうどうせちゃんと真面目に作ってもMARVELには勝てないんだから、好き勝手に大暴れしてくれよな。こんな風にかましていってくれるなら、僕はこれから先どんなに興行的失敗を重ねてもついていくぞ。よろしくな。

 

さて、BvSに続くDCEU第三作は『スーサイド・スクワッド』です。監督はデヴィッド・エアーです。さらにマーゴット・ロビーが素晴らしきプリケツをさらします。もうどう考えても最高の未来しか見えませんね。皆さんは不安かもしれませんがね、僕はBvS公開時ぐらいから一種のトランス状態みたいなもんなので、もうDC映画は全部最高のサムシングを感じてます。もうダメ。幸せ。しかも日本公開は9月10日、僕の誕生日前日です。多分デヴィッド・エアーは僕にホの字ですね。まいったなあ。キスぐらいならしてあげる♡

 

長くなりましたが、これから続いていくアメコミ映画ラッシュ、本当に素晴らしいし、いい時代に生まれたものだとしみじみと感じています。本当に幸せ。なんだかんだMARVELも好きですしね。皆さんも映画だけじゃなくて、ぜひコミックを買って読んでみてください。日本のヒーローものとはまた違ったかっこよさがありますよ。それと、BvSはこんな出来でしたが、DCにももちろん面白いコミックはいっぱいあります。DC派とかMARVEL派とか言わずに色々探してみてください。みんなで一緒に、エンジョイしようぜ。

 

それでは、また。